上住雅恵の近作はその強い輪郭、朱色、ピンク、紫の絶妙の手法によって、
視覚の調和や統一した世界を暗示している。
我々は視点そのもの(すなわち、視覚的な)よりはむしろ、投影された世界
(探索の視点と言えようか)に取り込まれてしまっていることは明らかである。
画家の休むことのない探求はスペクトルの流れによって展開される。
その構成は時間の流れの中で常に絶え間なく変化する現実の示唆である。
もしこの中に不変のものがあるとするならば、それは各自の直感に任されて
いると、画家はほのめかしているようである。
ドミニク・ナハス(美術評論家 N.Y.)
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